こんにちは!まるたかです。
今回はネジを締めたり緩めたりしているときにネジが固いなぁと感じながら力で動かしていたら急に軽くなった瞬間にネジの頭が『ころんっ』って取れてしまったことありますよね。私は何度もあります。
マジで焦りますよねぇ…。
『え”ぇーーーーーーーーーーーー』
どないしよう…ってときの対処方法ご紹介します。
『折れた』や『取れた』という表現の方が一般的かもしれませんが自分の中では『ちぎれた』の方がシックリくるので、この記事内では『ちぎれた』と表現させていただきますのでご了承ください。
ちぎれた(折れた)時の対処方法
ネジがちぎれた時の対処方法は大きく分けて次の4つです。
- ネジの突き出し部をつまんで回す
- ネジにマイナスの溝を切る
- ネジ抜き工具を使う
- ネジに穴を開けてネジ目の応力を弱める
上から順に状況が悪化して、取り外しの難易度が上がります。
1.ネジの突き出し部をつまんで回す
この方法はネジ穴からネジの先か頭が突き出しているときの対処方法です。
ネジの頭がないので当然ドライバーなどネジを回すための工具は使えません。そこでネジの先か頭どちらか突き出していたらラッキーです!
突き出した部分をペンチやプライヤーでつかんで回して抜き取ります。
注意してほしいのが必ず回っているか確認することです。
いくらつかんでも回っていないのに回そうとするとそこで、またちぎれる原因になり状況が悪化します。
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2.ネジにマイナスの溝を切る
続いてこの方法はネジ穴からネジが突き出してないけど回せれば回るときの対処方法です。
ネジの頭にネジはずしインパクトや貫通ドライバーをハンマーで叩いて溝を切ってそのままゆっくりと回して抜き取ります。
ここでも注意してほしいのが必ず回っているか確認することです。
何度も言いますが回っていないのに回そうとするとそこで今度は溝を切れないくらいちぎれた面がぐちゃぐちゃになります。十分に注意してください。
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3.ネジ抜き工具を使う
続いては前項の方法で回らない状態になっていてどうしよう…ってなっているときに希望をつなぐ電動ドリルとタップハンドルを使用してエキストラクターで対処する方法です。
エキストラクターとはネジに穴をあけ、その穴に打ち込んで使うものなんですがイメージとしてはネジを延長するような感じです。何か回りそうな気がしませんか?
使う工具
- 電動ドリル
- キリ(最近はドリルともいう)
- エキストラクター(サイズに合ったもの)
- タップハンドル
- ヤスリ
まず、ネジのちぎれた面をヤスリなどで平面にします。(ヤスリがけ出来ないくらい凹んでいる場合はそのままで)
その後センターポンチを中心に打ち、電動ドリルでエキストラクター用の下穴を開ける。ここで注意したいのがセンターに穴を開ける事。ズレるとエキストラクターが折れる原因になります。
エキストラクターを軽く打ち込みタップハンドルで反時計回りにゆっくりと回して抜き取ります。
ここで注意は先程も説明しましたが、外したいネジのセンターに穴を開ける事です。エキストラクターは打ち込めるくらい硬度は硬いので粘度がないためズレた位置で回すと不均等なテンションがかかるので折れやすくなります。
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ネジに穴を開けてネジ目の応力を弱める
究極の手段です。ここまで説明してきた方法でも抜けないときの方法です。
この方法はネジの芯に穴をあけて、ネジが材料に対して食い込んでいる力を弱めて回すという非常にアナログな方法かもしれませんが確実に取れます。これで抜き取れなければ諦めた方がいいと思いますがプロの方でもかなり慎重に行う作業なので自信のない方はプロにお願いするか自己責任で挑戦するか判断をしてください。私はこの方法を習得するまでにかなり失敗して先輩・上司に怒られたりしましたが、習得することで加工に自信がつきました。
使う道具
- 電動ドリル
- ポンチ
- キリ(ネジ径の半分以下の径のものから細いものを段階的に数本)
- ラジオペンチ
- ヤスリ
- CRC KURE556または類似の潤滑油
まず作業前に潤滑油を浸透させておき、エキストラクターと同様でネジのちぎれた面をヤスリなどで平面にします。(ヤスリがけ出来ないくらい凹んでいる場合は可能な方法で可能な限り平面を作ってください。次の作業を楽にする為です。)
次に平面を作ったねじのセンターにポンチを打ちます。このとき、必ずセンターに打つこと!これがずれるとこの作業は限りなく失敗に終わるので、最後の手段なので焦らず慎重に進めましょう。
センターに打ったポンチマークの位置にネジ径の半分以下のキリで貫通穴を開けます。
この状態で摘まめる状態であれば工具で摘まんで回るか確認します。
回ればOKですが、回らなければ先ほどのキリより一段大きいキリで穴を拡げます。
回して回らなければもう一段大きなキリで拡げる、回すを繰り返していきます。
あくまでこの方法はネジの芯をくり抜いていく作業なのでネジの肉厚がゼロにならないように注意してください。ネジの肉厚がゼロになるという事はネジ穴を削ってしまっているのでネジ穴が使えなくなります。そのためにはセンターにポンチを打つ。穴を真っ直ぐに開ける。この技術の習得が必要です。
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ここまででネジがちぎれたときの対処方法を説明してきましたが、そもそもちぎれた原因は何なのか解説していきます。ちぎれないためのコツも紹介するので引き続き読んでもらえると嬉しいです。
ちぎれた理由
ネジがちぎれてしまう原因は食いつきや焼き付き、錆による固着によってネジが回らない(ロックされた)状態で無理にネジを回すことでネジ穴から出ている頭だけが回されてしまうことで起こっています。つまりイメージとしてはタオル絞りの状態になっている感じですね。
ちぎれやすいねじ(素材)
ものづくりで使用されるねじの素材は大きく分けると鉄・ステンレス・アルミ・黄銅・樹脂です。
どの素材も、ちぎれる条件が揃えばちぎれるのですがそんなことを言ってしまうと元も子もありませんので順番からすると樹脂⇒アルミ⇒黄銅⇒鉄⇒ステンレスの並びでちぎれやすいです。
使う素材は使われる環境や状況によって決められてきます。ちぎれやすくても電気的に絶縁処理が必要な箇所には樹脂製のネジを使うこともあります。なので使用するときに、その素材の性質を意識した作業が出来るようになることが大切です。
ちぎれやすい環境
ちぎれる状況を作ってしまいがちな環境を大きく分けると次の3つが挙げられます。
- 狭いスペースで手が入りにくいとき:斜めになりやすい
- ネジの長さが非常に長いとき:電動ドライバーなどで高速回転すると熱を持ちやすい
- 長期間雨風にさらされているとき:錆びやすい
ちぎってしまいやすい工具
ここまででそんなに力いっぱいに回してないのにちぎれたという方は多いと思います。私も何度も経験があります。その原因は工具の選択や使い方があっていない事が挙げられます。
- 小さいねじに力の入りやすいグリップの工具を使っている。
- 大きいねじでシャフトの長い工具でトルクをかけている。
- 狭いスペースで工具がきちんとかからない状態で使っている。
- 電動インパクトドライバーで高回転高トルクをかけている。
すごくアナログな話になりますが、この作業は手の感覚をものすごく必要とします。軽くネジが回っているか、引っ掛かりはないか、固くなるところはないかなどほかの箇所のネジとの違いを感じることができると工具頼みの作業をしなくなるので安全に作業することができます。
ただ、いきなり感じろ!なんて言われても出来るわけないのでその状況を最小限にするためのコツをご紹介します。
ねじがちぎれないコツ
ネジがちぎれないようにするにはここまでで説明してきた状況にならなければいいということですよね。
1つ目は狭いスペースでネジが斜めになりがちな時はネジを緩める方向(右ネジなら反時計回り)にゆっくり回すとネジとネジ穴の山がカチッとハマる瞬間があるんです。カチッとハマったら締めてください。これだけです。
2つ目はステンレスなどの熱伝導率の高い材質で高回転高トルクをかけたり、長いねじで締め込みに長時間回転させるときは、ネジにグリスを塗布する。これにより潤滑と放熱効果で焼き付き食い込みを予防してくれます。
3つ目、細いねじ小さいねじを締める時はネジサイズによりドライバーなど工具の握り方を変える。変え方は例えばM3のネジであれば親指と人差し指の二本だけで締め付けるなど、力をかけても締めすぎにならない方法を試してください。*握力は個人差があるのであくまで私の場合の例えです。
あとは、ネジを締めるためにはネジサイズごと、ネジ素材ごと、取付ける材料ごとに締め付けトルク(締め付ける力)が決まっています。回るから締めるではつぶれる・ちぎれる原因になりますのでよく使うサイズだけでも覚えておくといいでしょう。
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今回のまとめ
ネジがちぎれた時の対処方法はどれもイレギュラーな作業なので慎重に進めることを意識して行いましょう。また、共通して慎重に進めるにあたって必ず作業前にKURE556などの潤滑油を浸透させておくとスムーズに進めやすいのでお勧めです。
- ちぎれた時の対処方法
- ネジの突き出し部をつまんで回す
- ネジにマイナスの溝を切る
- ネジ抜き工具を使う
- ネジに穴を開けてネジ目の応力を弱める
- ちぎれた理由
- ネジが回らない状態でタオル絞りのような状態になってしまい金属疲労を起こしてプチンッとちぎれる。
- ちぎれやすい状況・環境
- 狭いスペースで手が入りにくいとき
- ネジの長さが非常に長いとき
- 長期間雨風にさらされているとき
- 小さいねじに力の入りやすいグリップの工具を使っている。
- 大きいねじでシャフトの長い工具でトルクをかけている。
- 狭いスペースで工具がきちんとかからない状態で使っている。
- 電動インパクトドライバーで高回転高トルクをかけている。
- ちぎれないコツ
- ネジを締める前に緩める方向に回してネジ穴とネジの山がハマる位置を見つけてから締める。
- グリスの塗布をして潤滑と放熱対策をして食い付き・焼き付き予防する。
- 工具の握り方を工夫して過トルク(力が入りすぎ)にならないようにする。
作業中にネジがちぎれたら冷や汗ものでパニックになりやすいですが、こんな状況の時こそ慎重に落ち着いて確実に進めていきましょう。急がば回れです。この状況の対処方法を覚えるとマジで自信付きます。
ネジを使うときには起こり得るトラブルなので、今回の記事があなたのものづくりライフに一つでもお役に立てれば幸いです。
それでは、今日はこんな感じで終わります。
最後まで見てくれてありがとうございました。
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